【実録】腎臓病の療法食を食べない!ペット栄養管理士の飼い主が選んだフードと「完食の工夫」

もう、何なら食べてくれるの?

腎臓病の療法食を前に、一口も食べてくれない愛犬。

食いしん坊だったはずのあの子がそっぽを向く姿を見て、私は泣きそうな気持ちで毎日を過ごしていました。

私はこれまで20年以上、3頭のミニチュアダックスと向き合ってきました。

多発性血管肉腫で旅立った先代ダックス、そして、3度の悪性腫瘍を乗り越え17歳9ヶ月まで大往生した2頭目のダックス。

今回の記事は、その「17歳9ヶ月まで長生きした食いしん坊な愛犬」が、15歳のペットドックで慢性腎臓病(ステージ1)と診断された時の記録です。

画像は15歳のお誕生日に撮った写真です。
食いしん坊のなせる技か体力があり、数々の疾患をもろともせず、若見えするタイプで元気いっぱいです。

しかし、この食いしん坊な犬をもってしても「療法食、食べない問題」は起きてしまいます。

それはペット栄養管理士としての知識があっても、愛犬が食べない現実はあまりに無力で残酷です。

でも、だからこそ見つけられた「答え」があります。

同じ思いで悩む飼い主さんへ、私の試行錯誤のすべてをシェアいたします。

参考になりましたら幸いです。

目次

腎臓病の療法食を「食べない」のはなぜ?わんこの本音と飼い主さんの悩み

「せっかく高い療法食を買ったのに、一口も食べてくれない」

いちご

体に良いものを食べてほしいだけなのに、どうして分かってくれないの?

わんこ

だって美味しくないんだもん・・・

愛犬が慢性腎臓病と診断されたとき、多くの飼い主さんが最初にぶつかる大きな壁。

それが療法食を食べない問題です。

特に、今まで何でも喜んで食べていた食いしん坊な子が、療法食にした途端にプイッと横を向いてしまう姿を見るのは、本当に辛いものですよね。

私自身、2頭目の愛犬のダックスが15歳で、【慢性腎臓病ステージ1】と診断されたとき、全く同じ悩みを抱えました。

食べないと病気が進んでしまう」という焦りと、「でも美味しくないものを無理やり食べさせるのも」という葛藤。

毎日がお皿とのにらめっこでした。

今回は、ペット栄養管理士としての知識と、当時、愛犬と試行錯誤した実体験をもとに、「療法食を食べないわんこのため」の具体的な解決策をお伝えいたします。

療法食が「美味しくない」と言われる理由

そもそも、なぜ腎臓病の療法食は、わんこにとって「美味しくない」のでしょうか?

それは、わんこの「美味しい!」と感じるポイントをあえて制限しているからです。

腎臓への負担を減らすために、療法食ではタンパク質、リン、ナトリウムの量が厳しく制限されています。

わんこにとっての「旨味」の正体は主にタンパク質や脂質。

それらをカットし、さらに老廃物を吸着するための成分などが配合されるため、どうしても一般のフードに比べて嗜好性(食いつき)が落ちてしまうのです。

つまり、愛犬が腎臓療法食を食べないのは、わがままを言っているわけではありません。

腎臓の療法食はわんこの本能として、あまり魅力を感じない味付けになっているという背景があることを知っておいてくださいね。

決して私たち飼い主さんのせいではありません!

でも、食べない姿はやりきれないですよね。

いちご

せっかく用意したのに、悲しいやら、腹が立つやら・・・

それでも、まずは「食べなくて当たり前なんだ」と、少し肩の力を抜いてみてください。

15歳で慢性腎臓病と診断された、私の愛犬の場合

私の2頭目のダックスは、15歳の時のペットドックで、初期の慢性腎臓病(ステージ1)と指摘されました。

・SDMA 17μg/dl(標準 0-14)
・尿素窒素(BUN:Blood Urea Nitrogen) 45.4mg/dl (標準 9.2-29.2)
・クレアチニン 1.38mg/dl (標準 0.4-1.4)

慢性腎臓病の治療の根幹は、その病気の進行を遅らせること!

さて、それまでは何でもガツガツ食べる、食いしん坊な犬でした。

しかし、療法食に切り替えた途端、困った事態に陥りました。

最初は「新しい食べ物だ!」と興味を持って食べてくれたのですが、数日もすると

わんこ

あ、これ、あんまり美味しくないやつだ

と、何かに気づいたようで、お皿を置いても見向きもしなくなってしまったのです。

ここから、私と愛犬の「美味しく療法食を食べるためのゲーム」が始まりました。

【4種類お試し】私のおすすめ腎臓病療法食ランキング!

慢性腎臓病の療法食にはいくつか有名なブランドがあります。

私も代表的な4種類を少量のサンプルから試しました。

その結果、わかったことがあります。それは王道が必ずしも正解ではないということです。

これは食いしん坊な、私の犬の実際の食いつきによる【独断と偏見のランキング】ですが、腎臓病の療法食に迷走されている飼い主のみなさん、私も迷いに迷って着地しましたので、ここの熱量は半端ないです!

いちご

「食いつきよし!」と購入したものの、
その後、見向きもされないフードの山。涙

どれを選べばいいか迷ったら、まずは「食欲」と「状態」で選ぶのがおすすめです。

ヒルズ
犬用 k/d チキン味
ドクターズケア
キドニーケア
ロイヤルカナン
腎臓サポート
ダイエティクス
キドニーキープ
最大の特徴 独自のプレバイオティクス繊維で、腸由来の尿毒素を管理するアプローチを取り入れています。 動物病院専用の国産療法食です。腎臓の健康維持のため、オメガ3脂肪酸が強化されています。 少ない食事量でも必要なエネルギーを摂取できるように、エネルギー含有量が調整されています。 早期の慢性腎臓病にも配慮された国産フードです。3kgサイズはジッパー付き分包で使いやすい点も特徴です。
食欲低下への工夫 独自のおいしさテクノロジー「EAT」を採用し、食いつきを促進します。 長く食べ続けられる適切な栄養バランスとおいしさを追求しています。 慢性腎臓病による食欲低下に配慮し、犬が好む独自の香りと粒の形を採用しています。 鶏由来の原材料を使用し、嗜好性に配慮しています。
注目成分・機能 オメガ3脂肪酸含有。ストルバイト・シュウ酸カルシウム尿石にも配慮されています。 腸内環境に配慮し、可溶性食物繊維であるフラクトオリゴ糖を配合しています。 高消化性のタンパク質を配合しています。 比較製品の中で、カロリーが低めに設定されています。
カロリー
100gあたり
402 kcal 406 kcal 398 kcal 370 kcal
食欲が落ちている子
腸内環境も
整えたい子
国産フードを
選びたい方
初期の腎臓ケアを
始めたい子
購入リンク 食いつきケアの定番を見る 国産ケアフードを見る 小型犬向けを確認する 初期ケア向けを確認する

※◎・○・△は、各製品の特徴をもとにした目安です。療法食は、愛犬の状態や検査結果によって合うものが異なります。必ず獣医師に相談しながら選んでください。

王道の「腎臓サポート」と「k/d」は飽き対策がカギ

動物病院でまず勧められるのが、ロイヤルカナン腎臓サポート と、ヒルズ k/d 腎臓ケア です。

これらは臨床データも豊富で、信頼できる素晴らしいフードです。我が家でも最初はここからスタートしました。

どちらも最初は比較的よく食べてくれました。

特にドライフードだけでなく、同じブランドの腎臓サポート缶k/d ビーフ&野菜入りシチュー缶 を併用した時は、開けたての香りに誘われて完食することもしばしば!

しかし、最大の難関は「飽きでした。

数日経つと、ドライフードには目もくれなくなります。

また缶詰も、一度開封して冷蔵庫で保管したものは、温め直しても、香りが変わるのか途端に食いつきが悪くなりました。

これらの王道フードを使う場合は、いかに「開けたての新鮮さ」を演出できるかが勝負になります。

救世主はこれ!「キドニーキープ」と「キドニーケア」

王道フードに飽きてしまった我が家の救世主となったのが、ダイエティクス キドニーキープドクターズケア キドニーケア でした。

この2つの特徴は、なんといっても「粒の細かさとサクサク感」です。ロイヤルカナンやヒルズに比べて、粒が小さめで非常に軽く、おやつ感覚で食べられるような食感なんです。15歳の老犬にとって、硬すぎる粒や大きすぎる粒は食べるだけで体力を消耗します。その点、この2種は「食べやすさ」が際立っていました。

我が家では、この「キドニーキープ」と「キドニーケア」を交互にローテーションすることで、飽きを防ぐことに成功しました。

「今日はこっちの味、明日はあっちの味」と変化をつけることで、15歳の愛犬も「今日のご飯は何かな?」と少し期待してくれるようになったのです。

また、この2種類は粒が小さく軽いので、おやつ感覚でパリパリと食べられます!

そこで、食事の時間に限らず、タッパに入れ手元に置いて、犬の気が向いた時や、ご褒美としても使ってみました。

もちろん、その個体ごとの好みも多いにありますので、少量ずついろんな場面でお試しして、愛犬の好みを見つけてあげてくださいね。

ペット栄養管理士が実践!療法食を食べやすくする「ひと工夫」

フードの種類を変えるだけでなく、与え方にも工夫を凝らしました。

ペット栄養管理士でもある飼い主の視点から、効果的だった「食いつきアップ術」をご紹介します!

缶詰は「小分け冷凍&レンチン」で香りを立たせる

療法食の缶詰は、1缶が大きく、1回で使い切れないことが多いですよね。

でも、冷蔵庫で保管した缶詰の中身は、脂肪分が固まって香りも弱くなり、わんこの食欲をそそりません。

そして、食べることが進まないので、結果、冷蔵庫内で腐ります。涙

高い缶詰を捨てる時の切なさと言ったら・・・

いちご

その時のショックと言ったら・・・

わんこ

だって、美味しくないんだもん・・・

そこで、まず実践したのが、開封直後の小分け冷凍です。

・缶詰を開封したら、すぐに小分けしてラップに包む。
(多いと残すのでトッピングで使用、1つ20グラムずつくらい)
・ジップロックに入れて冷凍保存。
・食べる直前に電子レンジで人肌より少し温かいくらいまで加熱する。

こうすることで、脂肪分が溶け出し、わんこが大好きな「お肉の匂い」がふわっと立ち上がり、「温める」だけで、それまで食べなかったのに嘘のように食べ始めることもあります。その時がチャンス!!!

いちご

私の犬も、レンチンで食いつくことも!

ただ、これでも続くと、次第にそっぽを向かれるので、複数の種類の缶詰を小分けしてレンチンし、なるべく飽きさせないようにしました!

いちご

根気よく!!

魔法のトッピング!一番人気は「ゆでブロッコリー」

しかし、腎臓病療法食だけではどうしても味気ない。すぐ飽きてしまう・・・

そんな時に助けてくれたのがトッピングです。

色々と試した中で、私の2頭目のダックスが一番、喜んでくれたのがクタクタにゆでたブロッコリーでした。

慢性腎臓病では野菜のカリウムも気になるところですが、たっぷりのお湯でゆでて、ゆで汁を捨てる(こぼしゆで)ことでカリウムを減らすことができます。

ブロッコリーの独特の風味と、つぼみの部分にフードが絡まる食感が良かったようで、これを混ぜるだけで完食率がグンと上がりました。

彩りも良くなるので、見ている飼い主側の気持ちも明るくなりますね。

この犬は、13歳で口唇悪性黒色腫(ステージ1)、この慢性腎臓病が見つかる15歳のペットドックのタイミングで脾臓血管肉腫(ステージ1)も見つかっており、同時に、少しでも悪性腫瘍の対策にも向けた食事をと考えていたので、ブロッコリーはまさに救世主でした。

ただ、この後に記載していますが、甲状腺疾患にはアブラナ科の食物は注意が必要です。

薬(チロタブ)はデビフのシニア缶に隠して「一口目」に

この犬は、慢性腎臓病、脾臓血管肉腫の発見と同時に「甲状腺機能低下症」も見つかり、朝晩の投薬(チロタブ)が欠かせなくなりました。

甲状腺の血液検査 T4  0.9μg/dL (標準値 1.0-4.0)

体力も見た目も衰えず、若見えする元気な15歳でしたが、シニア期に入ると水面下では色々なことが起こってきますね。

いちご

ただ、ここまで、
色々とある犬は稀かと思いますが・・・

甲状腺機能低下症が見つかったのは、この少し前から皮膚炎が治らず、薬用シャンプーも効果がなかったので、ペットドックのタイミングで、もしや甲状腺の仕業?とT4の数値も測ってもらって判明しました。

*アブラナ科の植物(キャベツやブロッコリー)は、甲状腺ホルモンの分泌を阻害するのでNGとされているようですが、ごく少量ならと、獣医に相談の上、使用しました。

さて、その投薬。

ただでさえ、腎臓病の療法食には興味がないのですから、薬を飲ませるのにも、ちょっとしたコツが必要です。

そこで活用したのが、デビフ シニア犬の食事 4種 です。

デビフの缶詰は嗜好性が非常に高く、柔らかいので薬を隠しやすく、重宝します。

コツは、「一番お腹が空いている一口目」に、少量のデビフで包んだ薬を与えること。
「美味しいものが来た!」とパクッと食べた勢いで、そのままメインの療法食へ誘導する作戦です。

療法食ではないものを与えることに抵抗があるかもしれませんが、薬を確実に飲ませることと、食事のスイッチを入れるための「呼び水」として、割り切って活用しました。

デビフの缶詰はバリエーションが沢山ありますが、シニア犬用で総合栄養食を選択してくださいね。

いちご

缶詰には栄養補完食もありますが、
なるべく普段の食事の補充に寄せたかったので、
私は総合栄養食をチョイスしました!

療法食を食べない時に試してほしい「3つのチェックリスト」

「愛犬が食べてくれない」と心配になってしまいますが、まずは、以下の3点をチェックしてみてくださいね!

1. フードの「食感」を変えてみたか?
大粒が苦手なら「キドニーケア」のような小粒で軽いものに。
ドライがダメならウェットに。わんこにも「食べやすい形」の好みがあります。

2. 「温度」と「香り」を意識しているか?
鼻が利かなくなっているシニア犬には、人肌程度の温めると香りが立ちやすくなります。
レンジで数秒温めるだけで、食べる意欲が劇的に変わることがあります。

3. 「味のローテーション」を作っているか?
1種類に絞らず、2〜3種類の療法食をストックしておき、数日単位でローテーションしてみてください。
飽きさせないことが、長期戦の腎臓病ケアでは重要です。

まとめ

愛犬が療法食を食べてくれない毎日は、本当に心が折れそうになりますよね。

どうして食べてくれないの」と泣きたくなる夜もあるかもしれません。

でも、そうやって悩むのは、あなたが、それだけ愛犬のことを大切に想っている証拠です。

愛犬が一番、嬉しいことは、私たち飼い主さんの笑顔です!

療法食だけで通そうとせず、トッピングや温めの工夫を楽しみながら、「今日も美味しく食べられたね」と声をかけてあげてください。

少しの工夫で、愛犬との美味しい時間が1日でも長く続くことを、心から応援しています。

目次