【愛犬の治療メモ①】歯磨きで見つけた暗い影ー犬の口腔内悪性黒色腫を疑った夜➖

Mダックス、当時16歳10ヶ月。
口唇悪性黒色腫脾臓血管肉腫を、再発も転移もなく乗り越え、主治医から「ほぼ寛解」と言われていました。

その日の夜もいつもと同じように、私は犬たちの歯磨きをしていました。

2頭目の犬も、口臭も出血もよだれもなく、食べ方も普段と変わらず。
抱っこして仰向けにすれば、素直に口を開けてくれて、歯磨きをさせてくれる。
よく知っている、いつもの日常です。

しかし、その夜、何気なく角度を変えた瞬間、奥歯の内側から見慣れない暗い影が舌の隙間から顔を覗かせました。

胸の奥がひやりと沈んだのを、今でも忘れられません。
犬生、三度目となる悪性腫瘍との闘いは、突然始まりました。

当時の記録を元に記載しております。
過去の記録だからこそ、感情だけではなく事実を冷静に落とし込めているかと思います。
個体差はあると思いますが、私が一飼い主として体験したこれらの経験が、現在、同じ思いを持っておられる飼い主の方の参考の一つになれましたら幸いです。

皆様のわんちゃんに何か気になる点があれば、必ず専門家の診察を受けてくださいね。

目次

歯磨き中に、奥歯の内側から突然現れた「暗い影」

抱き上げて仰向けにし、奥歯の内側を磨いていた時でした。
いつも通り口の中はきれいで、嫌がる素振りもありません。
けれど、歯ブラシの角度を少し変えた瞬間・・・

薄暗く、嫌な形のデキモノが、舌がほんの少しずれた瞬間、奥歯の内側から見えました。

「これは、やばいかも。」
色、質感、位置。
どれをとっても、ただのデキモノではないと分かり、今度こそ終わったと思いました。

その直感が、背筋を冷たくしました。
これまで2つの悪性腫瘍(口唇悪性黒色種脾臓血管肉腫)を経験してきたからこそ、楽観視できる材料がひとつもありませんでした。

主治医へ連絡。翌朝、鎮静下で組織採取へ

発見したその夜、気持ちは静かにざわつき続け、手持ちの専門書を片っ端から読み漁りました。

翌朝一番で主治医へ連絡し、すぐに来院。
検査を見越し、絶食のまま病院へ向かいました。

診察後、主治医は迷うことなく判断しました。
「鎮静をかけて組織を採取し、すぐ病理検査に回しましょう。」

淡々とした説明の裏で、「急いだほうがいい」という空気が伝わってきます。
鎮静をかけ、奥歯の内側から組織を採取。

主治医は、ひと呼吸おいて「これは普通、見つけられないですよ」と言ってくれました。
飼い主への褒め言葉のはずなのに、胸が詰まりました。

良性・悪性問わず、今までの経験から、どうやらデキモノができやすい体質の2頭目の犬。
いつかまた何かが起きるかもしれないと思い、毎日、口の中も欠かさず見ていたのに、それでも間に合わないことがあるのか。

静かに、じわりと現実が迫ってくるのを感じました。

主治医の「異例の指示」が示す、状況の重さ

検体を提出した直後、主治医はすぐに指示を出しました。

確定診断を待たず、がんセンターをすぐに予約しましょう。
この時点で、事態の深刻さを理解しました。

実は、1回目の悪性腫瘍(口唇悪性黒色腫)のときは、細胞診・手術・抗がん剤(カルボプラチン)の全ての過程をかかりつけ医で完結できたのです。

しかし今回は、発見した時点で、即、二次診療施設である「日本小動物医療センター附属日本小動物がんセンターの受診を勧められました。

これは、口腔内腫瘍がどれほど厄介で、進行が早く、治療も難しいかを象徴しているかのようでした。

4年前、口唇悪性黒色腫を患った際に、主治医が言った言葉を思い出しました。
あの時、主治医が「歯茎でなく、口唇である」と告げた意味が、ここで腹落ちすることになりました。

今回は口唇でなく、歯茎でした」

腫瘍はわずか3ヶ月間で現れた可能性が高い

遡ること、3ヶ月前、長年、経過観察であった肝臓の腫瘤の状態をみるため、日本小動物医療センター附属小動物がんセンターで、全身麻酔にてCT検査を受けました。

そのときに口腔内のチェックもお願いしていたので、その時は奥歯の裏側にも何もないことがわかっています。

つまり今回の腫瘤は「わずか数ヶ月の間に現れ、急激に成長した可能性が高い

これまでの二度の悪性腫瘍の病歴、年齢、肝臓の巨大腫瘤。
冷静に見れば、良性の可能性は限りなく低い。

願えたのは、これだけ。
「どうかデキモノだけを切除する選択肢がありますように」
「浸潤していませんように」

その思いだけでした。

外見からはまったく分からない。それが恐ろしい。

この頃のうちの子はよく食べ、よく眠り、よく笑っていました。
16歳10ヶ月のシニア犬でしたが、年齢を感じさせないほど毛艶もよく、活き活きとしていました。
年齢を重ねて尚、愛しくなり、穏やかなシニア犬ライフを共に楽しんでいました。

口の方は、一日二回の歯磨きでも、出血や臭い、よだれもなく、また外側の腫れもなく、日常の中のどこにも異変は見えませんでした。

突然の発見には驚きでしたが、だからこそ、この歯磨きの習慣が土壇場で私たちを救ってくれたのだと思っています。

とにかく神様に願いました。
「お願い、まだ連れて行かないで」

第2話につづく(病理検査の結果、そして治療の選択へ)

「発見した日」の記録としてここまで。
次回は、病理検査の結果と二次診療機関への通院。
そして、私が、がんセンターの獣医師と話し合って下した、治療方針の決断についてまとめていきます。

皆様のわんちゃんに何か気になる点があれば、必ず専門家の診察を受けてくださいね。

症状にも個体差はあるかと思いますので、あくまでケースの一つとしてお読みいただき、何か一つでも参考になる部分があれば幸いです。


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